料理人の定義を広げ、
新しい料理人像を体現していく。

Interview

小栗 直也
フードプロデュースセクション レストランオペレーションチーム
料理長 2016年新卒入社

料理人として、人として、
最も成長できそうな場所はどこか。

何かをつくることが大好きだった子どものころ。中でも母の手伝いをするうちに好きになったのが、料理でした。食べてくれる人のリアクションが嬉しくて、反抗期真っ只中でも料理だけは母と一緒につくったり、高校生になると友達に振舞ったりもするようになりました。進学先は、迷うことなく調理師専門学校を選択。進学後は、時間をかけて出汁を引くような「手間暇の美学」に魅せられ、洋食を専門に技術を磨きました。


そして迎えた就職活動。大手ホテルを中心に足を運ぶ中で、八芳園と出会いました。インターンとして婚礼部門に入ってみると、お客様の目の前で火を上げながらお肉や魚を焼いたり、パフォーマンスを交えてあの手この手でお客様をもてなす料理人の姿がありました。その姿に心を射抜かれたと同時に、温かみのある八芳園のおもてなしを体感し、料理人としてだけでなく、人としても成長できるのでは。そんな期待を抱いて入社を決めました。

“任せる文化”が、料理人としての
一本立ちを後押ししてくれる。

入社してすぐにThrush Caféの前菜を任せていただくことになり、2年目の後半にはパスタなどメイン料理も担当するように。一通りの業務ができるようになったのは4年目の頃でしょうか。その後、Thrush Caféや白鳳館、RESTAURANT ENJYUの料理長を任せていただき、現在は食材・人・数字の管理や商品開発を日々行っています。


はやく一人前になるために決めていたのは、誰よりも早く会社に来て仕事をすること。皆が揃う2時間前には厨房に来て、仕込みなど営業の準備をする。もちろん営業時間中も時間を見つけて練習したり、先輩シェフにマンツーマンで教えてもらうことも。成長に貪欲だったことに加えて、八芳園には熱意に応えてくれる先輩たちの存在や、色々な仕事を思い切って若手に任せる文化があります。やる気があれば、他の会社では叶えられないようなスピードで成長できる。今では、自分はその文化を受け継ぐ側として、後輩の成長をサポートしています。

料理に、正解なんてない。

入社4年目のころ。その年、会社の研修で農作物の産地見学に行った私は、これまでの固定概念を覆される経験をします。例えばじゃがいもであれば、煮たり、焼いたり、揚げたりと野菜にはそれぞれに王道となる素材へのアプローチがあります。私をふくめた料理人は、そのセオリーに従って調理を行ったり、メニューを考えていきます。ところが、農家の方々は、玉ねぎに包丁を入れることなく丸ごと茹でたり、驚くほど自由な発想で調理をしていたんです。教科書には載っていないような、一見型破りな方法。それでも食べてみると、本当に美味しくて。型こそあれど、料理に正解なんてないんだ。自分の思考から、自由になれた気がしたのです。


それ以来、気になる食材があれば全国各地へ足を運び、農家の方の独自の調理方法や食材のストーリー、その地域の伝統文化や郷土料理などの理解を深め、メニュー開発につなげるようになりました。お客様とカウンターを挟んでお話しする際には、直接見聞きしたことをシェアして、お腹と心を満たすだけでなく、学びまで持ち帰っていただくように。こうした地道な活動は、徐々にレストランの評価として返ってきて、私にとっては手応えのある成功体験となりました。

目指すのは、
食の総合プロデューサー。

「八芳園なら、料理人としても、人間としても成長できるはず」。あの時の自分の決断が連れてきた経験の幅広さは、想像以上でした。八芳園が福岡にエリアプロデュース警固を立ち上げた際、料理だけではなく、フロアの設計構想まで携わらせていただくことに。また、現地スタッフの方々に「八芳園らしさ」を伝え、接遇に反映していくことも私のミッションでした。従来の「料理人」の枠を超えた仕事を任せていただいたことで、自分の中の料理人像は変化しました。料理人とは、ただ料理をつくるだけでなく、料理を提供する空間や、お客様とのコミュニケーションのあり方まで考え、食体験全体をプロデュースする人。従来の「料理をつくる」とは、食体験全体の重要な要素でありながら、その一部分に過ぎないんだと気づき、目指すべき姿が新たになりました。


日本各地の野菜の産地を巡っていると、そこにしかない価値と同時に、課題もたくさん見えてきます。願わくば、食事を通して日本の素晴らしさを伝え、さまざまな形でその成果をお返しし、地方創生にも貢献できる料理人になりたい。そんな大きな夢ですら、いつか叶うと信じられる。それもやはり、八芳園の持つ力だと思います。

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