幸せな一日を彩ることは、
美しい日本の再発見にもつながっている。

Interview

熊谷 美咲
ペストリーセクション
マネージャー 2020年中途入社

人生の1番幸せな瞬間に
立ち会える仕事。

パティシエという職業をしているものの、実は私は甘いものが得意ではありません。それに対して、私の家族は全員が甘党。お菓子をつくると喜んでくれるので、幼いころからバレンタインなどの折には家族のためにお菓子をつくって振る舞っていました。「家族を笑顔にできるもの」。それが私にとってのお菓子づくりの原点にあり、小学校のころから将来の夢はずっとパティシエでした。専門学生のころ。ブライダルパティシエの方が、講師としてウエディングケーキ製作の実演をしに来てくださったことがありました。私は、高さのあるケーキがどんな仕組みと構造で出来ているのか気になったと同時に、お話を聞くにつれブライダルパティシエこそお菓子づくりを通して、人生の1番幸せな瞬間に立ち会える職業なのではないか。そう思ったのです。


ファーストキャリアでは、仕込みなどのサポート役からはじまり、5年ほどかけて仕上げの業務まで出来るように。八芳園に転職をした理由も、前職の先輩が勤めていたことがきっかけでした。「おもてなし」を大切にした幅広い事業展開もさることながら、広大な日本庭園を眺めながら毎日仕事ができるなんて。きっとここなら、自分の腕を磨くだけでなく、毎日心も満たされて働けると思ったのです。

なんでも挑戦できる職場で、
技術も感性も磨かれる。

転職してまず驚いたのは、挙式件数の多さです。前職では多くても一日8件くらいでしたが、八芳園はその倍以上。さらに平日のご宴会やレストランでお出しするケーキづくり、メニュー開発と、ウエディングだけでない幅広い業務も担います。そのぶん若いうちから任せていただけることも多く、新しいメニューのアイデアを探す毎日。それでも調理台から顔をあげると、目の前には美しい日本庭園がある。日常にふと差し込んでくる四季の姿が、シーズナルメニューの着想源になったこともありました。


八芳園くらいの規模の会社となると、スポンジを焼く人、ナッペをする人、盛り付けをする人…と担当する業務が細分化され、担当が固定されることが一般的です。しかし、八芳園は担当やセクションの垣根も超え「やりたい!」と思ったことをなんでも挑戦させてもらえる環境。それに、自分のスキルを磨くことは、お客様に喜んでいただける方法を増やすことでもあります。私も今、「前向きな失敗を恐れない」という社内の合言葉に背中を押され、学生時代ぶりの飴細工に励んでいます。

「パティシエさんに、
直接お礼を言いたいんです。」

思い出深いお客様がいらっしゃいます。その方にはとてもお好きなキャラクターがおありで、「どうしてもこのキャラクターを使ったケーキを作って頂きたいんです。」と、イラストレーターさんに描いてもらったオリジナルのイラストをご持参くださるほど。熱いご依頼を受け、打ち合わせでは「この部分はこうした方が可愛いのでは」「ここはこの果物を使いましょうか」と細やかにご提案。完成したウェディングケーキを見たお客様は「あのイラストそのままです!」と大変お喜び頂けたそうで、「直接お礼を言わせてください」と私を会場に招き入れて下さり、一緒に記念撮影をして頂きました。


お客様のご希望にそのままお応えするだけでなく、ご期待をさらに超えていくことが八芳園流のおもてなし。そしてその意識こそが、技術だけではなく一人の人間としての成長を促してくれるのだと思います。

広がりつづける、
私がお菓子づくりをする意味。

結婚式の場は、私のように甘いものが苦手な方だけでなく、アレルギーなどをお持ちのお客様もいらっしゃいます。全員で幸せを分かち合えるはずの時間に、取りこぼされてしまう方がいらっしゃらないように。一人ひとりの個性やお好みだけでなく、アレルゲンフリーをはじめ様々な食のバリアフリーに対応していくこと。さまざまなご事情を受け止めながら、一人ひとりが美味しく食べられるものを考えていくこと。そんな誰一人取りこぼさないお菓子づくりこそが、私が目指す理想のブライダルパティシエ像です。


はじめは、家族の笑顔が嬉しくて志したパティシエの仕事。その奥深さと醍醐味は、キャリアを経るごとに増しています。以前、産地の異なる2つの栗をつかったケーキを試作したとき、その違いに驚いたことがありました。お菓子はつくる人によってはもちろん、つかう果物ひとつとっても、産地が異なれば味に違いが生まれる。お菓子というものの可能性の広さに、改めて気づかされた瞬間でした。四季を感じ、旬を知り、メニュー開発を通じてお菓子の可能性を追い求めること。それはお客様の人生で1番幸せな瞬間を彩るだけでなく、日本の豊かな自然や魅力を再発見し、発信することにもつながっている。仕事の手を止めて庭園を眺めていると、ふとそう感じることがあるのです。 

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