日本の美意識が息づく、八芳園の新披露宴会場をご紹介
Wedding Topics
2025.11.17
日本の花嫁を象徴する伝統衣裳“白無垢”。
純白の打掛は「清らかな心」や「新たなはじまり」を意味し、花嫁を凛とした美しさで包み込みます。
素材や文様、織りの表情によって一着ごとに異なる趣を持ちながらも、日本の美意識を映し出す存在。
本コラムでは、そんな白無垢に息づく伝統と、その美しさに込められた想いをご紹介いたします。
―白無垢の歴史
「白無垢(しろむく)」は、花嫁の清らかさと新たな門出を象徴する日本の伝統婚礼衣裳。
美しい白で統一されたその姿は、神前式や仏前式といった厳かな儀式にふさわしい、和装の中で最も格式の高い装いとされています。
その起源は平安時代にまでさかのぼり、貴族の婚礼において花嫁が白衣をまとった習慣が始まりといわれています。
室町時代には身分の高い武家の女性たちが着用し、その後明治時代に神前式の広まりとともに正式な婚礼衣裳として定着しました。
現代では、伝統を受け継ぎながらも刺繍や色彩を加えた華やかな白無垢や、洋髪スタイルとの組み合わせなど、新婦様の個性をいかしたアレンジも見られるようになりました。
古来の美意識と現代の感性が響き合う、時を超えて愛される花嫁衣裳です。
―白無垢に込められた意味
白無垢は、花嫁が人生の新たな一歩を踏み出すときに身に纏う、特別な意味をもつ衣裳。
その装いには、いくつもの想いが込められています。
一、穢れを祓い、心を清める
白色は、神道や仏教において「純潔」「清浄」「神聖」を象徴する色。
白無垢を纏うことで、花嫁は過去を清め、新たな人生を歩む準備を整えるとされています。
二、婚家に染まるという誓い
白は、あらゆる色を受け入れ、どんな色にも染まることができる特別な色。
真っ白な装いは、新しい家庭に入る前の“無垢”な状態をあらわし「これから歩む新しい家庭に心を寄せ、共に生きていく」という花嫁の決意が込められています。
三、新たな人生のスタート
結婚は、ひとりの女性が「娘」から「妻」へと生まれ変わる節目。
白無垢はその変化を象徴し、人生の新しいはじまりを祝福する装いとして今も受け継がれています。
一見同じように見える白無垢も、素材や織り方、文様の違いによってその印象は大きく異なります。
気品あふれる光沢のあるものから、優雅で柔らかな風合いのものまで、多彩な表情を持つ白無垢。
ここでは、花嫁の個性を美しく引き立てる白無垢の種類と選び方をご紹介いたします。
白無垢の印象を大きく左右するのが、生地の「素材」です。
素材ごとに風合いや艶、着心地が異なり、選ぶ生地によって佇まいにも個性が生まれます。
●正絹(しょうけん):絹 100%で織られた、最も格式の高い生地。上品な光沢としなやかな手触りが特徴で、自然な生成りの白色がやわらかな印象を与えます。保湿性・通気性に優れ、着心地が良いのも特徴です。
●化繊(かせん):ポリエステルなどの化学繊維を使用した生地で、鮮やかな純白を表現できるのが魅力。シワになりにくく扱いやすい一方で、天然素材に比べると風合いがやや硬く感じられることもあります。
●交織(こうしょく):経糸(たていと)・緯糸(よこいと)に絹と化繊を組み合わせて織った生地。正絹の上質さと化学繊維の扱いやすさを併せ持ったバランスの良さが魅力です。
白無垢と聞くと「真っ白な衣裳」という印象を持たれる方も多いですが、実は“白”にもさまざまな色味があります。
●純白:青みを帯びた透き通るような白。雪のような透明感があり、清楚で凛とした印象を与えます。明るい肌色の方や黒髪の方に映える色合いです。
●オフホワイト:純白よりもやや柔らかく、温かみを感じる白。日本人の肌になじみやすく、上品で穏やかな印象に仕上がります。
●アイボリー(生成り):黄みを帯びたやさしい白。自然な温もりがあり、肌を明るく見せたい方やナチュラルな雰
囲気を好む方におすすめです。
白無垢の生地には、繊細な文様が織り込まれたり、刺繍が施されています。
その多くには「吉祥文様(きっしょうもんよう)」と呼ばれるおめでたい意味を持つ柄が用いられ、ひとつひとつに願いが込められています。
●鶴:夫婦円満や長寿を象徴する吉祥の鳥。白無垢を代表する定番の文様です。
●鳳凰:高貴と繁栄の象徴とされ、古くから婚礼衣裳に用いられてきた格式高い文様です。
●松竹梅:松は不変と長寿、竹は成長と子孫繁栄、梅は新たな門出をあらわします。
●菊:長寿と高貴の象徴。皇室の紋にも用いられる由緒ある花です。
●桜:春の訪れと新しい人生のはじまりを象徴する花。華やかで可憐な印象を与えます。
白無垢を選ぶ際には、文様に込められた意味や願いを感じながら選ぶことで、一着の衣裳がより特別なものとなります。
また現代の白無垢には、伝統的な吉祥文様だけではなく、伝統を守りつつもデザインに工夫が加えられ、より華やかで洗練されたものも見られます。
白無垢に合わせる伝統的な髪型といえば、「綿帽子」と「角隠し」。
どちらも花嫁をより美しく見せるだけではなく、それぞれに深い意味が込められています。
綿帽子(わたぼうし)
白い帽子のような形をした綿帽子は、かつて女性が外出時に顔を覆った「被衣(かつぎ)」が起源といわれています。
「挙式が済むまで新郎様以外に顔を見せない」という意味があり、ウエディングドレスにおけるベールに近い役割があります。
また、災いや邪気から花嫁を守る“魔除け”の意味も含まれています。
綿帽子は白無垢のみに合わせる装いで、挙式の瞬間にしか身に着けられない特別なもの。
近年は、洋髪に綿帽子を合わせる新婦様も増えています。
角隠し(つのかくし)
角隠しは、花嫁の髪と額を覆う白い布のこと。
「怒りの象徴である角(つの)を隠す」という意味合いがあり、「穏やかで思いやりのある妻になる」という誓いをあらわしています。
挙式だけではなく、披露宴やお色直しで着用できるのも特徴で、色打掛や引き振袖ともよく合います。
表情や髪型を美しく引き立て、晴れの日にふさわしい華やかな印象を与えます。
八芳園専属衣裳室「KOTOHOGI」で取り扱っている白無垢のコーディネート例をご紹介いたします。
いかがでしたでしょうか。
結婚式の和装は、日本の伝統や美意識を感じられる特別な衣裳です。
素材や色合い、文様のひとつひとつに込められた想いを感じながら、こころを纏う一着を見つけてください。
日本の美意識が息づく、八芳園の新披露宴会場をご紹介