「ブライダルプロデューサーとして働きたい。でもブライダル事業一本の会社は、自分の将来の広がりに欠けるのかも。それなら大型ホテル?でも、ホテルだとセクションが多すぎてブライダル部門に配属されない可能性が…」。18歳、ブライダル専門学校1年生だった私は、悩みの真っ只中にいました。「ブライダルをやりたい」という確固たる想いはあったものの、それをどこでやるか決めあぐねていたのです。
八芳園との出会いは、学校単位での企業訪問でのこと。他の企業が、美しい映像を使って会社のことをプレゼンテーションしてくださったのに対し、八芳園の担当者の方はとても想い溢れる、とある結婚式のエピソードをお話してくださいました。自分たちの世界観や考えを押し付けるのではなく、お客様の想いを汲み取り、結婚式とは何かを本質的に考えている。「こんな会社があるんだ」。就職先に悩んでいた自分に、光がさした瞬間でした。それだけではありません。八芳園は、説明会で自己分析を手伝ってくれた唯一の会社でした。「こういう仕事に向いていそうだね」「こういうプロデューサーになれそうだね」私の気持ちをうまく引き出し、寄り添ってくれる。まるで、理想のブライダルプロデューサーのような接し方。そのときにはもう、私の中にどこでブライダルプロデューサーを目指すのか迷いはなくなっていました。
「実は」を引き出すことが、
お客様の心を打つ提案をつくる。
ブライダル部門に配属されて程ないころ。私はブライダルプロデューサーの仕事は、お客様との関係づくりが全てなんだと気づきました。「実は…」に始まる本音の部分を、どれだけ聞かせていただけるか。聞いた上で深く理解し、おふたりの心を打つご提案ができるか。たとえばお話を伺う中で、幼い頃にお父様と星を見に行った大切な思い出をお話しくださった新婦様がいらっしゃいました。「あれ以来、星が好きで」。そうおっしゃる新婦様に「七夕にお式を挙げてはどうでしょうか」とご提案し、当日の新婦様の再入場はお父様と手を繋いで。おふたりとも大号泣されていて、私自身もその場に立ち会わせて頂ける喜びを噛み締めました。
なぜ結婚式をしたいのか。これまでたくさんのお客様と携わらせて頂き、その理由は本当に千差万別。中には「やりたくないけど、義務感で」「両親が言うから」とご自身が結婚式を挙げることに意味を感じていなかったり、前向きではないお客様もいらっしゃいます。それでもよくお聞きしていくと、どんな結婚式をしたいのか、たいせつな方々にどんな気持ちになっていただきたいのか、必ず何か希望を口にしていただけます。それを逃さずキャッチして、想像以上の形にする。そうすることで「結婚式をやって良かった」と思っていただくことに、強いやりがいを感じています。
責任があるからこそ、
チームで解決する。
今でこそこうして仕事の醍醐味を語れる私ですが、駆け出しの頃はプレッシャーの重さに押し潰されそうになったことがあります。大きな予算。高いご期待。絶対にミスはできないと、自分で自分を追い込みすぎてしまったのです。当時担当していたお客様からは「私たちのことに、そこまで真剣になってくれる貴方だからこそ頼みたい」という温かい言葉が。それからはその励ましに応えるべく、先輩から支配人までたくさんの方に協力してもらいながら、そのたいせつな結婚式をやり遂げることができました。責任感を持てばこそ、一人で背負うのではなく、チームの力で実現する。1年目の頃から大事なお客様を任せていただいたからこそ、得ることができた学びでした。
お客様の中には、結婚式の後も年賀状のやり取りが続き、ご妊娠、ご出産とライフステージが変わるたびに会いにきてくださるご夫婦もいます。「佐光さん、この子を抱っこしてください」と赤ちゃんを連れてきてくださった方も。こんなふうに誰かの人生に深く関わることができるなんて、ブライダルプロデューサーは私自身の人生もドラマチックに変えるような、魅力的な仕事だなと思います。
良い仕事は、直接会い、
よく聞くことから。
3年目から4年目になる春。「ベストプロデューサーコンテスト」という八芳園主催のご婚礼のプロデュースコンテストに出場しました。詳細に設定された架空の新郎新婦さまを相手に、どんな結婚式を総合的にプロデュースするか、ほかに料理人やパティシエといった各部門のファイナリストとのチーム単位で競い合うコンテストです。私たちは、実際に新郎新婦さまの設定にあるご出身県まで足を運び、自治体の方とお話しして、その地域の食文化や伝統を学び、その内容を提案に織り込みました。自分もチームも納得する提案をすることができ、とても良い体験になりました。やはり、基本は現地、対面。ちゃんと会って、よく聞いて、コミュニケーションをとる。ブライダルプロデューサーの仕事の基本は、どこまでいっても変わらない。そう改めて気づかされる経験でした。
八芳園の結婚式は、おふたりらしさを表現するために、すべてがオーダーメイド。だから必ず、毎回新たな提案も、挑戦もあります。逆にそうでないと、おふたりだけの結婚式にはなっていないと思うのです。やりがいがある一方で、お客様のためにどこまでも追求できるブライダルプロデューサーの仕事は、大変なこともたくさんあります。でも、例え挑戦したことのないチャレンジも、チームのみんながいるから大丈夫。これから八芳園の門をくぐる仲間や後輩たちにも、そして18歳のころの自分にも、そう伝えてあげたいと心から思うのです。